飲食業等の店舗経営者は機会損失を理解し素早く対策していくことが重要です|二橋税理士事務所ー横浜市鶴見区の税理士


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店舗経営者にとっての機会損失

機会損失とは

最初に申し上げておきます。
機会損失の重要性に気づかなければ、売上・利益アップや赤字解消は困難です。
どんなに一生懸命水を汲んでいても、その容器に穴が開いていることに気付かないわけですから。

一般的に商売上での機会損失(=チャンスロス)とは、商品が品切れしているなどのために、在庫があったなら売れていたであろう販売機会を逃したことを意味します。(営業日に店を休むということも同じです。)
例えば、100円のチョコレートを買いに来たお客様がいたのにもかかわらず、売り切れていた場合は、100円の販売機会を失ったと理解します。
しかし、現実的にレジや金庫、財布から100円が無くなったわけではなく、現実の損失は0円です。実際に現金で100円を失ったわけではないので、 感覚の鈍い経営者は「まあいいか。在庫がなかったんだから仕方ない。」で済ませてしまいます。「稼ぎ損なった」「儲け損なった」”だけ”という感覚なのでしょう。
もしかしたら、「商品がなかったらお客さんは他のものを買っていくだろう」というような意識がどこかにあるのかもしれませんが、 こうした感覚は非常に危険だと認識しましょう。
単純に「稼ぎ損なった」「儲け損なった」だけではないのです。

100円の機会損失≠100円の損失

このチョコレートの事例では、お客さまは、①チョコレートではなくキャンディーやガムなど別のものを買う、②何も買わない、 ③他のお店に行ってしまう、この3つのいずれかと考えられます。店舗経営者の中には、「在庫がなかったんだから次回の予約をしてもらうようにすればいい」 と考える人もいます。チョコレートで予約はないと思うでしょうが、チョコレートではなく、他のもっと大きな商品や人気商品などの場合は、こうした意識を持つ方は少なく ありません。「また来てくれるだろう」という意識の方も含め、私に言わせれば、「そういう感覚だから、いつまでも経営不振なのだ」と申し上げておきます。 経営感覚のある経営者やマーケティングの専門家の視点からは、単なる100円の機会損失では済まないと考えます。

現実的にはどうなるかはやってみないとわかりません。

それが機会損失の怖いところです。
しかし、少し考えてみてください。
もし、お客さまが他の店に行って、そちらを気に入ってしまったら、こちらの店に買いには来なくなるかもしれません。 他の店が遠いなどの理由があれば、仕方なく来ることはあっても、それは「仕方なく」来るだけなので、状況次第では二度と来なくなります。
また、他の店が特に気に入らなくても、また、買うことすらやめてしまったとしても、このお客さまの頭の中には、「この店はチョコレートの在庫がない店」 という記憶が残ります。大事なお客さまに、このようなネガティブなマイナスイメージが植えつけられてしまうことが大問題なのです。このお客さまが友人に店を勧める ことはまずありませんし、次回チョコレートを買う時も、「あの店はチョコレートの在庫がない店だ」という記憶が真っ先に浮かぶでしょう。失った機会は一度だけではない のです。

この機会損失は目に見えない損失だからやっかいです。
現実に何らかの費用が発生するわけではないので、その場での痛みを感じないのです。
本来得られたはずの売上が得られなかっただけでなく、その機会を失ったために、それによって次にもたらされたであろう別の「機会たち」をも失っているということ なのです。「機会たち」と言ったのは、もたらされるであろう機会は1度ではない可能性が高いからです。買って(来て)くれて気に入ったら、何度も通ってくれる でしょうし、他のお客さまを紹介してくれたり、連れて来てくれたかもしれないということです。将来もたらされる利益がどれだけ大きなものになり得たのかわかりません。 それらすべてを失った可能性が高いということです。

経営者がやるべきこと

どこの店でも会社でも、お客さまを少しでも多く獲得したいと考えていますし、新しいお客さまを増やそうとして、費用をかけて、手間をかけて、工夫をして、 必死に集客に努力しています。しかし、一方でせっかくの機会を自ら捨ててしまったり、機会損失を減らす努力を怠っている経営者がいるのはどういうことでしょう?
まるで、必死で水を汲んでいる容器の下に穴が開いているのを、黙って放置しているようなものです。この例えを聞くとそんな馬鹿なことと思うでしょうが、 現実にはそうした経営者は少なくありません。だからいつまで経っても経営が安定しないのです。

優れた経営者は、売上げを上げる、利益を増やす、お客さまを増やす、コストを下げる、生産性を上げる、スタッフのレベルを上げる、無駄を減らすといったこと以外に、 必ず「機会損失を減らす」ということも頭に置いて、常にどうすればいいかを考えています。
機会損失を完全に無くすことは不可能です。その場では気付かないケースもあるでしょう。
だからこそ経営者は、一つでも機会を見逃さないように常に気を配り、可能性を少しでも減らす努力を怠らないのです。 そして当然のことながら、気付いたらできるだけ早く対策を取ろうとします。なにせ水(売上げ)が漏れているのですから、対策を行うまでのスピードは非常に重要なのです。
先ほどの事例で言えば、チョコレートの在庫が切れるというのはあってはならないことです。しかし起きてしまったことは変えられません。 できうる次善の策を取るしかありません。速やかに品切れの告知をするとともに、次回の入荷予定を知らせる、在庫のある他の店をお伝えするなどのお客さま目線で の最善の対応を行うことによって、お客さまを何とかつなぎとめ、次の「機会たち」を逃す可能性を、少しでも減らす努力をするのです。
これらをしっかり行っている経営者は、売上げを上げ、利益を増やし、成功する可能性を高める要素の一つがそこにあると理解しているのです。

事業の成功は日々の積み重ねでしかありません。ある日突然、お客が増え、売上げが上がり、利益が激増するなどまずあり得ません。 「やれること」をやっているだけでは成功は難しいでしょう。なぜなら、その程度のことは競争相手の誰もができることであり、やっていることだからです。 「やれること」ではなく「やるべきこと」をやり切らない限りは、成功の可能性は高まりません。ここでいう「やるべきこと」とは、成功に必要な考えうるすべての条件 のことです。「やるべきこと」が「やれること」でない場合は、どうしたらそれができるようになるかを全身全霊をかけて考え行動に移すのです。 どうしてもできないと思うのなら、次善の代替策を考え実行するしかありません。
機会損失を減らす努力も「やるべきこと」の重要な一つです。
機会損失に無頓着な経営者が行う事業が成功する可能性は、宝くじが当たるのを待っていることと同じです。

 

執筆:エス・アイ・エム  代表 佐藤義規

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